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*桜の咲く頃。

週末は外へ。

桜がもうそろそろ散ってしまいそうだったので、思い立っておにぎりとありあわせのおかずを詰めて桜を見にでかけました。

大学時代の友人が大阪から遊びにきたので、見せてあげたいと思った桜並木。
こぼれんばかりの花々をいっぱいに垂らす桜並木に、彼女もとても嬉しそうでした。

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彼女は数ヶ月前に子宮がんの宣告を受けて手術をしました。

入院するの、手術をするのよ、私、がんになっちゃったの。と久しぶりにかけてきた電話で話す彼女の口調がまるで、明日からちょっと温泉に行くのよ、少し遠いところなの、とでも言うかのようだったので、私は、そう。そうなの。と言って、帰ってきたらまた電話をちょうだいね。と、これもまたいつもと変わらぬ口調で電話を切ったのでした。

それからしばらく、私は大切な友人の一人を失うのかもしれないと、とてもかすかで、実体のない恐怖におびえ、彼女からの電話もメールも来ないことに、小さな影をずっと心にとどめる毎日でした。

しびれをきらして、私が電話をしたのだったか、彼女からかかってきたのだったか忘れてしまったけれど。
とにかく、彼女はまた、きちんと普通の毎日を取り戻しました。以前とは違って数ヶ月置きの検診はあるものの、仕事をして、好きな男性と過ごして、好きなお酒を呑んで、私という友人に電話をして冗談を言って、次に会う約束をする。そんな小さな日常を。

前と何ら変わることのない彼女の声を聞いて、私の中の小さな影はやっと、どこかへ消え去ってくれたのでした。

そんな彼女と見た今年の桜。

彼女と出会ったのは18の頃。ちょうど、こんな桜の咲く頃。彼女は何も変わらない。
もう、いくつになったんだー?!って、毎年ずっと笑っていたいね。

となりで娘達とじゃれあって、トレードマークの大きな口をあけてけらけらと笑う、その笑顔を見ながら思った、桜の木の下で。

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日々を愉しむ。

その昔、郊外の住宅地で人々に多く愛された小さなショップを営んでいた夫婦のブログ

暮らしにまつわるつれづれ。



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